不必要


M 『ビィ~ルゥ ノンデェ イ~ヌゥ タァ~ベテェ~ ハイ』
僕 『ビール 飲んで~ 犬 食べて~ ハイ』
M 『ビィ~ルゥ ノンデェ ネェ~コ タァ~… おっと。オイ、鼻に○○付いてるぞ』
僕 『○○? 何それ?』
 そう言って僕が鼻をこすると、指先に何かがペロンとくっ付いた。
僕 『あぁこれはね、日本語でHANAKUSOって言うんだ』
M 『何? もう一回』
僕 『HA・NA・KU・SO』
M 『ハナクソォね。へぇ』
僕 『HANAはナーゼ(ドイツ語で鼻)、KUSOはシャイセ(ドイツ語でクソ)って意味さ』
M 『ってことは、鼻のウンコってこと?』
僕 『そゆこと』
M 『アッハッハ。日本語って面白いなぁ』
僕 『フフン。だろ?』
 このようにして僕は、不必要な日本語ばかりを彼に教えています。

屁 VS へ


(ブリッ)
…。
『ヘ』
(ぷぅ)
…。
『屁』
(ブゥゥゥ… プスッ)
…。
『へ』
 二人で旅をした初日、僕も彼もやけに屁が出て、僕が屁をぶっこいたら彼がしばらくしてから『へ』と言い、彼が屁を漏らしたら僕がしばらくしてから『屁』と呟くという、なんとも馬鹿馬鹿しい一日をおくりました。
 旅人同士ってのはね、屁で会話が出来るものなんです。

コンビ結成


 この先もずっと続けていくのか、それとも途中から別々のルートで進んでいくのかはわからないけれど、ユースで知り合ったマーコスと明日から共に歩いていこうと思います。
 彼はクリスチャンの家庭で育ち、この旅に出る前からもヨーロッパ内をフラフラと旅していた人物で、決して押し付けがましくなく、お互いの時間を尊重し合える関係になれると僕は思っています。
 彼だけがそうなのか、多くのヨーロッパ人がそうなのかはわからないけれど、僕から見た彼の一番良いところは、例えば自分がコーヒーを飲みに行くといった場合、ただ僕に 『コーヒーを飲みに行ってくる』 とだけ告げて、一瞬僕の返事を待ち 『じゃあまた後で』 と言えば、彼も同様の返事をし、 『僕も行っても良いかな?』 と聞いたら 『悪いわけがないだろう』 と言ってくれるところなのです。
 彼のように、誘っているのでもなく、敬遠しているのでもなく、単純に僕の時間を尊重してくれているところが僕としてはとても心地良く、本当に有り難い限りです。
 さてさて、これからは二人の馬鹿っぷりを皆さんにお届けしていきましょうか。

さてさて


 そろそろ良い頃合いかなと思うので、書いてしまうことにします。
 僕は以前の日記にも書いた通り、スペインの西端にある 『サンティアゴ・デ・コンポステラ』 という場所へと向かって毎日毎日歩いています。
 一ヶ月半程前の 『インタビュー』 という題名の日記を読んでもらえたでしょうか? もしも読んでいない方がいれば、バックナンバーで探してみてちょうだい。
 そのインタビューを受けた一週間後くらいに、結構大きな記事でドイツの地方都市の新聞に掲載されて、僕の知らない間にその辺りではちょっとだけ注目されていたようです。勿論、僕はその頃には一人でドイツ内をテロンテロンと歩いていたので、実際どれだけの反響があったのかは全くわかっていないです。
 それでその新聞の内容というのが 『日本から来た山田っていう変な男が、スペインまで歩いていくんだとさ』 というもので、実はこの旅を始める前から僕の計画の内の一つに入っていたわけです。
 ここまで読んで 『コラコラコラ、ヤマダンゴ。その 「サンティアゴで何とか寺」 ってのは一体何なのよ? あんたやっぱり馬鹿なのね』 と思ってしまった人のために少し補足しておきます。
 この 『サンティアゴ・デ・コンポステラ』 というのは、キリスト教三大聖地の内の一つで、南フランスのある都市からスペイン西端まで 「巡礼者の道」 というものが定められていて、毎年、何万だか何千だかの人達が西を目指して移動し続けているのです。僕は今、やっとその巡礼者の道のスタート地点(明確に決まっているわけではないけれど)に辿り着き、これからいよいよ本番となるわけです。
 そして、なぜ巡礼をするのか? ということについてなんですが、近年ではスポーツ感覚で挑む人や、卒業の思い出として仲間と一緒にその道を歩く人、自分の信仰心を高める為になど様々な理由で沢山の人が挑戦しているわけなんですが、僕はというと 「スペインに行きたいから」 です。
 飛行機に乗ってビューンって行くのも悪くないけれど、それだと何だか面白くないし、このHPに 『スペインへの○時間の空の旅は、腰が痛くて大変だったぜ!』 なんて書いても、皆さんもそうだろうけれど、僕自身としても全然面白くないです。
 つまり、多少辛いことがあったとしても、楽しみながら旅をしていけるか否かというのが一番の問題で、飛行機に乗って行くのが自分にとって一番楽しいのであれば、迷わず飛行機に乗っています。要は、数ある移動手段の内の一つとして、僕は徒歩を選んだと思ってもらえればいいかなと。
 まぁそんな感じで、これからもまた一ヵ月半か二ヶ月の間は歩き続ける毎日になります。
 そして、なぜスペインに向かっているのか? については、また後日。
 では
P.S
 あぁ、それと山田からの絵葉書が欲しいっていうチャレンジャーがいれば、住所と氏名を書いてメールしてちょうだい。普通の絵葉書が届きます。
 山田 和史

旅人に出会う の巻


 僕しか泊まっていないユースホステルのキッチンで、昼過ぎにパスタを作って一人モリモリと食べていた。すると入り口のドアがすっと開き、一人の長身男性が入ってきて僕に英語でどこから来たのかと訊ねてきた。
 僕は日本からだと答え、君はと聞き返すとドイツからだと彼は言った。
 下手糞なドイツ語でなんとか会話をしていくと、彼もまた僕と同じようにキャンプをしながら移動していて、目的地もまた僕と同じだった。
 お互いに同じような経験と、同じような考えをしながら毎日一人で歩いていた為か、僕等はすぐに意気投合し、まったく車の走っていない真夜中の国道の話や、僕の嫌いな(?)ウンコの話などで盛り上がり、ウヒャウヒャヒャと久々に腹の底から笑わせてもらいました。
 これからもきっと、沢山の出会いがあるのでしょう。
 P.S
 また新たな名前を付けられました。
 その名は 『猫』