泣くのか、笑うのか、冷めてるのか


 サンティアゴまで残り100キロを切り、本当に射程距離に入っているのだけれど、そこに到着した時の自分は一体どんな気持ちを抱くのかが全く予想が付かない。
 約2500kmという、歩くにしては大変なこの距離をよく歩ききったな山田コノヤローと、涙を流すのか
 アッヒャッヒャと着いちゃったわー。 なんかわかんないけど楽しいですねーと笑うのか
 ハイハイ大変でした。 それはもう良いとして、今日も靴下を手洗いすんのかぁ。 あぁ面倒くせーと普段通りなのか
 いずれにしても、もう目の前。
 次回の更新で、その全容が明らかに…!!

団体行動


 僕の嫌いな事ベスト3を挙げるとしたら
『都会の人込み』 『団体行動』 『カレーとシメサバが大好物な人』
 ずっとそう思っていたのに、どういうわけだかここ最近ずっと団体行動をしている。
 やっぱり西洋人達の良いところは、個人の時間を尊重しながらも、その中で自然発生的に遊びが生まれ、そこには上下関係も強要も強制もなく、ただ紳士的な、相手を思いやる気持ちがしっかりと根付いているところだと思うのです。
 あと数日で終わってしまうこの団体行動だけれど、この多国籍なコミュニティーの中に、僕にとって小さなチャンスが転がっていたことを先程メンバーの中の一人が僕に語ったのでした。

狼ではありません


  僕はきっと狡猾なタイプの人間ではないと思うし、それほど一匹狼的な人間に憧れを持っているわけでもない。
 ご飯を食べさせてくれた人のことは忘れないし、自分のことを気に入ってくれた人に対しては、調子こく時はあるけれど、それほど失礼な態度を取らないようにはしているつもりです。
 ただ、何かの間違いで僕の首から綱が取れてしまうと、それまでのことは一度頭の片隅に追いやって、とにかく自分の思う方向に向かって持久力の無い全速力で猛ダッシュしてしまうことがあるらしいのです。
 ハァ…。誰よりも先にお礼の手紙を書かなくてはいけない人に、年賀状さえも書いていなかった自分の馬鹿な過ちを悔いています。
 ごめんなさい、これから年賀状書きます。
 二枚。

天井の高さ


 昼過ぎに上を見ながらタランタランと歩いていたら、面白いことに気が付いた。
 どうやらスペインの空ってのは、日本の空に比べるとずっと高い位置にあるらしい。
 日本で見ていた空は、まるで誰かが巨大な画用紙に水色の絵の具をサァーっと塗って、それを僕らの少し上空にペタッと貼り付けたような、なんだか大自然が創ったニセモノの屋根みたいだったけれど、ここスペインの上にある空からはそのおかしな圧迫感は感じられない。
 遥か遠くに空があって、あぁこれはもう絶対に手が届かねぇやと、知らず知らずのうちに自分はこの星のちっぽけなオマケに過ぎないんだと意識するようになってくる。
 もしかしたら、この 『自分と空との距離感』 が、その土地に住む人々の暮らしに何らかの影響を及ぼしているのではないだろうか。
 一度来てみてちょうだい。 多分この国は 『情熱の国』 というよりも 『空の国』 の方が適切な表現だと納得してもらえると思うから。

秒針の音を響かせろ


 秒針の音がカチカチカチと真夜中のキッチンに鳴り響き、僕はいつの間にかその音に耳を傾けていた。
 僕らの人生は 『停止』 のボタンしか付いていない、古ぼけたテープレコーダーにセットされたカセットテープのようなもので、そのボタンが押されるまで、何が起ころうとも延々と同じペースで録音状態をキープし続けている。
 秒針のカチという音と共に、未来が一つ近付き、新しい現在が訪れ、過去が一つ遠のく。
 出来ることなら無音の状態を極限まで減らし、いつでも何かの音を鳴らしていたいと僕は思っている。