犬の鳴き声ならぬ泣き声

 昨夜、ミャケ君達が我が家に来て、漬物を肴に酒を飲んでがっはっはとなっていた。
 来客が好きなチャビスケは、時々ミャケ子の背後に忍び寄り、わちゃー といった感じで飛びついてミャケ子を困らせる。
「へい、チャビスケ。 あんたいい加減にしなさいよ。 お母さんはもう、知りませんからね」 と、得意の台詞でチャビスケを注意し、はいごめんなさいとチャビスケはまたソファの上に寝そべって媚を売るんだけど、気が付くとまたミャケ子に飛びつきまーたミャケ子を困らせた。
 先日も書いた通り、ミャケ子はとてもイタイ子で、チャビに狙われ続けた為に少しおかしくなったっぽく
 チャビスケをまたいで、なぜか腰をフリフリ。
 そしてわざわざ 「ふりふりふりふり」 と言葉に擬音を出す始末。
 その腰振りダンスを見ていると、『チャビの名前、チャビにして良かった』 と思う。
 彼女が言い放った 『 オマメ 』 という名をつけていたら、恐らく僕はブログなんぞに犬を飼ったと書かなかっただろう。
【うちのオマメは今日も元気一杯で、ぼくちん、た~いへん!! てんやわんやでスッテンコロリンの毎日です☆  お や す み   オマメ☆ 】
 そんなブログ書きたくない。
 あ、だめだめ。現実を見なきゃ。
 そう思い直し、未だに腰をふりふりしているミャケ子の方を見ると
 ジーンズからパンツが飛び出ている。
 ねぇ、ミャケ君。 本当にこの子と付き合ってて良いの?
 ミャケ子のこと、今日からロケット・パンティ・ミャケ子って呼んじゃだめ?
 ってか、パンティて。
 そんな無駄な老婆心で以ってミャケ君をちらりと見ると、ミャケ君は僕の視線に気が付いたようで、僕ら2人は男同士の粋なアイコンタクト、否、哀コンタクトで以って頷きあい、あはは、もうミャケ子ったらお調子者め。 キャッキャキャッキャとまた現実の世界に戻っていった。
 しばらくして、MBがジャーマンポテトを作り、おぉこりゃ美味そうじゃなもしと酒を飲んでメシを食らう。
 チャビスケは少しでも食卓の匂いを嗅ごうとテーブル周りをくんくんし、時々ロケット・パンティ・ミャケ子(※以後、RPと表記) に飛びついて、口の周りをぺろりんちょ。
 こりゃいかん。
 チャビスケ、あんたぁ かわいいけんども
 調子さぁ 乗っちゃぁ あかんぜよ。
 そんな僕の中の厳密なルール、通称 【屁の突っ張りはいらんですよ】 が作動した為、チャビスケを持ち上げて、チャビスケハウスがある縁側にチャビスケを出し、僕らはあははと語らった。
 チャビスケはきゅーんきゅーんと甘えた声を出すものの、ダメですからね、あんたは反省してなさいと、僕は無視してあははうふふ。
 チャビスケは構ってもらえないのが面白くないようで、扉をがりがりとやったり、きゅーんきゅーんと声を出し、出してくれよと僕を呼ぶ。
 それでも僕の 【屁の突っ張りはいらんですよ】 は解除することなく、あははうふふと話していたら、突然縁側からガタンという音がして、僕が 「 ん? 」 と思ったそのとき、今まで聞いたことの無い、チャビスケの 「きゃー」 という悲鳴が聞こえてきた。
 え? なに? どしたんよ?
 僕は急いで縁側の扉を開けると、チャビスケは突然 「 きゃー 」 という声を上げ、左後ろ脚を上げたまま、きゃーきゃーきゃーきゃー鳴いている。
 チャビスケハウスから飛び降りたときに、恐らく左後ろ脚を網目に挟めたに違いない。
 骨 折れてるかもしれん。
 すぐにチャビスケを抱き上げて、左足を触る。
 チャビスケはきゃーきゃー と鳴いているけれど、左後ろ脚は全く動かさない。
 お前、脚折れたんか?
 書くまでも無いが、そのとき山田、変な汗出まくり。
 チャビスケはきゃーきゃー鳴き、ミャケ君&RP&MBもチャビスケを凝視。
 そんなとき、そう、そんなピンチの時こそ男の、否、漢(おとこ)の見せ所じゃけん。
 僕はゆっくりとした足取りで携帯を持ち、3人のいないところに行ってドッグトレーナーのロッタさんに電話する。
 ロッタさん出る。
「ロッタさんなんかねチャビスケが脚を挟んだかなんだかよくわからんけどとにかくすんげー痛がっててこれってもしかして骨折れたんかな折れたんならどんな感じになるの今もびっこひいてて歩けないみたいで痛いって言ってるんだけどこれってどうすればいいの俺そういうのよくわかんないしやっぱりその病院とか連れて行くべきだと思うんだけどこんな時間にやってる動物病院とか無いと思うしそれに俺酒飲んだから車運転できないんだよねタクシー呼べば良いんだわうんそうだわロッタさんも結婚してないよね俺の周りにいる女の人って大抵結婚してないんだうんその原因はわかってるよみんな俺のこと取り合ってるんでしょごめんね今は一人でいたいお年頃なのとにかくどうすればいいのかなチャビがね痛がってるんだよね痛いみたいなのさ」
 僕は↑のようにピンチのときでもどっしりと構え、落ち着き、ニヒルでダンディズムな俺のイズム。
 ロッタさんは 「うん、今でも鳴いてる?」 と冷静に僕に訊き、いや今はびっこひいてるよでも痛いみたいだよだってその脚だけ浮かしてるもん痛いんだと思うだいじょぶかな?だいじょぶかな?と、僕はまた更に落ち着いて返事をすると、じゃあ多分大丈夫だよ。折れてたら一晩中鳴いてたりするから。でも明日にでも病院連れてってみたら? えーとね、○○ってとこは安いし日曜もやってるから連れてってあげてねー。 と僕に言い、うんわかったありがと。 もう少し様子見てみるわと、僕は居間に戻ってチャビを抱く。
 ちゃびちゅけ いたいんでちゅか~? ごめんね、おぃちゃんが優しくなかったねと言いながら左足をなでなで。
 なでなでなで
 あ なでなでなでなで
 あ なでなで
 しばらくはびっこをひきながら歩いていたチャビスケは、少しずつ左足を動かすようになり、2時間もするとまーたRPに飛びつき、飛びつかれたRPはまーた調子こいて腰をふりふりふりふりふりっふり。
 うん、良かった。 完治じゃ完治。ビバ、ロッタさん。
 そんなわけで本日のチャビスケは、まーた家の中を走り回り、時々僕の足元におもちゃを持ってきて、遊べといった感じで僕を見上げ、はいよとおもちゃを投げるとそれに飛びついて一人で遊び、飽きるとまーた近付いてきて、膝の上に乗せろと命令するので膝の上に乗せ、暑いんだけど といった感じで僕を見上げてまーた一人で遊ぶというのを繰り返している。
 さっきはウンコを食べそうになったので、おぃダメだってと、注意しに行くと硬いウンコをくわえて逃げ、待ーてこのやろう、このウンコチャビと言ってやったらば、ソファの上にその硬いウンコをぽとりと落としてまーた逃げていった。
 平和と言えば平和でね。
 脚折れてなかったのは非常に喜ばしいんだけど、ウンコとかそういう汚い系のものが嫌い というか苦手な飼い主としては、少々腑に落ちないわけなんです。
 まぁいいや。 寝よ寝よ。
 チャビスケはもう寝とります。
 おやすみんさい。

ヴォネガットおじさん

 それほど 「読書家」 とまで言えるほど本を読んでいるわけではないんだけど、趣味は何? って訊かれたら、多分最初に 「本読むことだと思う」 と答えると思うので、きっと僕の趣味は読書である。
 いつもいつも古本屋で本を買っているんだけど、それは大抵 【様子見】 くらいの範疇にあって、この人の本は古本じゃだめだと思ったら、せこい僕でも書店に行って本を買う。
 それくらいの心意気は、僕にだってあるのだ。
 僕の浅はかな基準の中で 「この人の本は新品を買おう」 と思うのは、夏目漱石、ドストエフスキー、コナン・ドイル、カズオイシグロ、そしてタイトルにあるカート・ヴォネガット・ジュニア(以後、ヴォネガットと書く)だけである。
 夏目漱石はもう説明も不要だろうし、ドストエフスキーに関してもさほど言及しなくても良いと思う。コナン・ドイルも同様に。
 カズオイシグロに関しては、20代前半のアホみたいに読書に熱中していた時期にどういうわけだかイギリスの小説がとても好きになって、いやーこの人の小説は多分僕が90歳くらいに老衰で死んでも古典として残ると思うなうんうんと思い、以後買い続けている。
 そんで本題のヴォネガットの話になるんだけど、世間的、というか、書店の並び的にはSFのカテゴリに分類されているわけだけど、これをSFという一つの括りの中に入れても良いのかなぁと本屋に行く度に少し疑問に思う。
 音楽にしろ絵画にしろ映画にしろ小説にしろ、何かにつけてジャンル分けするのって多分あまり良いことじゃない。そのジャンル分けのせいで確実にヴォネガットは損をしているんじゃないかと思う。
 ヴォネガットの小説を読んでいない人が、例えば僕になんか面白い本とか無い? って訊いてきて、僕がじゃあヴォネガットとかはどう? って言ったとしたら、その人はきっとこう言うと思う。
「ジャンルは何?」
 そんで僕は仕方なく 「SFみたいなもん」 と答えたら、言われた方は 「…。 じゃあ、違うのは?」 となりそうで嫌だ。絶対、(スターウォーズ系?) とか思われてんじゃないかなと思うのが何かよくわからんけど嫌だ。
 例えて言うなら、キューブリックのあの有名な映画を 「SF」 という一つの狭いコミュニティに押し込んでも良いのか? ってことだと思うんだけど、その辺は一体どうなんでしょうか? あ、あと、たまに安部公房もSF作家的な位置で表現されることがあるんだけどその辺はどうなんだろうかなぁと思う。
 うん、いや多分、僕の中の 「SF」 という言葉が、あまりにもスターウォーズと直結してしまい過ぎているのがいけないのか? あ、その前に僕自身もそのジャンル分けにこだわってんじゃないかなと思うこのジレンマ。
 もう、知りませんからね。
 これから本当に本題に入る。
 夕方、風呂に入った後に、さて、ヴォネガットの読んでない本が復刊したから買ってこようかと車に乗り込み、どこの本屋に行こうかなぁと少し悩んでいたら、あぁ、そういやホームセンターにも行きたいから富山市の呉羽(くれは)に行ってみようかしらんとぶぃーんと車を走らせた。
 意味も無くホームセンターを徘徊し、「なんだかよくわからんけど、プラスドライバー欲しい病」 にかかった僕は、ひとしきりプラスドライバーを触りまくり、あぁでもないこうでも無いと考えながら、結局は 「ま、いらないんだけどね。 うちにあるし」 という、ホームセンターに入った瞬間からそうなるだろうと思っていたままの非生産的な思考と行動で以って店を出て、あぁそうそう、本屋じゃ本屋と近くの本屋に車を停めた。
 そこの本屋は全然大型書店ではなく、僕が小学生の頃にも地元にあったような、学校の近くで文房具と雑誌と子供向けの色々と、恐らく売上のエースであるエロ本を提供しているさほど大きくない書店である。
 そういった書店はそこのおやじさんの趣向がもろに反映されているから、あぁこの人こういうのが好きで本屋を始めたのかなぁと思ったりするのが結構好きで、大型書店よりもそういった店でなるべくなら本を買いたいと思うのがこれ、男じゃないですか。
 で、さてさてヴォネガットの本はあるかなと、でもさほど小説には力入れてないっぽいから期待はずれになるかなぁと思いながらも小説が並ぶ棚の前に立った。
 するとこれ、驚きである。
 ディケンズのあの長編小説は当然のように置いていないし、カラマーゾフの兄弟は 『下巻』 しかない。 ホームズシリーズもかなり抜けがあって、全体的にまばらな本棚。
 ただ、どういうわけだか、ヴォネガットの小説は復刊したものも含めて全て綺麗に揃っている。
 僕は小声で 「 おー 」 と言い、このおやじ、なかなか デキル と、変な侍みたいな気分になってフンフフンと鼻歌まじり。
 さぁーて、どれを買っちゃおっかなぁと思ってちょろちょろしていたら、カズオ・イシグロも全巻発見。 おやおやおやー? と思いながら、ちょいとまた視線を帰ると、エラリー・クイーンも全巻揃っている。
 おやじ デキル。
 できるぞなもし。
 ふと、おやじの方を見ると、客である僕のことなんかおかまいなしに、雑誌をぺらぺらとめくっていて、なんか良いなぁこの店と、気持ちの悪い微笑みを僕は一人浮かべるのである。
 で、結局僕が考えたこれまた浅はかな思考の動きは
「うん、スローターハウス5をまた読むか」 と、すでに持っている本をまーた家に帰って読もうという、おやじにとってもかなり迷惑な客のまま家に帰った。
 そういうことである。
 つまり、ホームセンター、本屋に行って、恐らく1時間半は時間を使ったのに、結局は何も買わずに帰ってきた。 僕はこういった行動がかなり多い男No.1なのだ。
 家に帰って、パソコンを起動し、ちょろちょろと自分のサイトを見ていたら、アリノハネの概要として放ったらかしにしていたサイトが表示されなくなっていて、え? どしたの? とそこのサーバーにアクセスしても繋がらない。
 あれあれあれ、何よ、サーバー落ちたんか? と思いながら、念の為にそのサーバーのキャッシュを見たら 「6月29日をもってこのサーバーは閉鎖します。 ではさようなら」 と書かれていた。 無論、前払いしていたその金は返ってこない。
 うん、まぁしゃあないかと思って、サーバーとドメインを引越し、エアコンの下でチャビスケはだらだらと寝ています。
 これからさけるチーズを食べ、酒を飲み、本を読んでチャビと寝ます。
 チャビはこのところ調子こいてきたので、山ちゃんのぷんぷんしつけ攻撃をそろそろ開始しようかと思います。 無論、赤ちゃん言葉で。
 そういや、ぴやのやさんが猫を飼い始めたみたいです。
 だからあの人、このところブログの更新が前ほど頻繁じゃなくなったんだと思います。
 きっと今頃、「猫ちゅぁ~ん ぴやのやのおぃちゃんだよぉ~  がぉ~ キャッキャキャッキャ」 とか言って、まさに猫撫で声を出しているかと思うと、なんだかやりきれない気持ちになるのは僕だけじゃないはずです。
 動物ごときに生活を乱されるなんて、ダメ、ゼッタイ。
 さて
 ちゃびちゅぁ~ん
 山ちゃんといっちょに寝まちょうね~☆
 キャッキャキャッキャ

トイレが詰まったそのときは

【山田のパソコン部屋】 というのが我が家にはあって、それはただの廊下の凹みを利用して、そこに小さい木製のテーブルを置き、バイオとプリンター、スタンドを置き、上に拾ってきた板とかを打ち込んで、棚みたいなのを用意した簡易部屋でござる。
 もちろん今もそのパソコン部屋にてこのように文章なんぞを書いちょるんだけども、ここでぱちぱちとやっていたら暇になったチャビスケが僕の素敵太ももをおらおらおらと前足でコンニチワさせてきて、「なによチャビスケ、上に乗りたいんか?」 とチャビを抱き上げ、膝の上に乗せてまたパソコンをぱちぱちとやる。
 部屋の中はそこそこ暑く、体温の高いチャビを膝の上に乗せているため、そこは弱い灼熱地獄へと化す。
(暑い…)
 チャビスケを見ると、僕のそんな心中を察する事もなく、机にあごを乗せてだらだらとしている。
(暑いぜよ…。 でも、これを我慢するのが父親のあれじゃ。 我慢じゃ我慢じゃ)
「はい、おいどん、あついです」 と、関取っぽい声で言ってはみたものの、チャビスケはそんなもんはシカトしてすやすやと眠る。
 そんなとき僕は、あ、良いこと考えた みたいな自己完結の演技をし、チャビを下ろして目を合わせ
「おやつでも食うか?」 と、その場を濁す。
 これを読んでいる女性陣同様、チャビは 「おやつ」 という言葉にかなり弱く、ぴょんぴょんと飛び回りながら僕の後をついてきて、僕が立ち止まると腰を下ろし、素敵飼い主からのあれを頂戴しようと良い子ぶる。
 そんなチャビの顔を見ていると、僕は思うのだ。
 乙女心と犬心を掴んでしまう自分が怖い と。
 全然結婚できねぇけど。
 チャビは飼い主同様自己完結な演技が好きで、おやつを甘噛みしまくって、それをわざと床に落とし、まーた拾って甘噛みし、前脚でわちゃちゃと転がして、甘噛み、甘噛み、甘噛み、甘噛み、甘噛み、甘噛み、トドメを刺す。
 僕はチャビが一人で獲物と遊んでいる間、まーたパソコンをいじり始めるわけなんだけど、気付くとチャビスケ巨大ウンコをコンニチワ作戦決行中。
 ぶりぶりぶり
「はいー偉いねチャビスケ」 と、僕はトイレットペーパーでレフトハンドをガードして、ソフトタッチでウンコという名のプリズムをダイビングキャッチ。
 そいつをそのままトイレにぽとりと落としてさ、じゃー と一気に流すずら。
 トイレというのは基本的に 凹 ←このような構造になっているんだけど、今朝はどう見ても □ ←こうなっていて、水が流れれば流れるほど 凸 ←このような状態になっている。
 やばい
 部屋中、水浸しになる。
 さながら、僕が愛という名の聖水に浸るが如く。
「ってか山田、めんどくせーよ 色々と」 と思ってるあなた。
 いい加減にしなさいよ。
 しかしそういった場合、つまり緊急時に何をするかでその人間の器がわかるというものだが、僕の起こした行動は
「待て待て待て待て」言いながら、ただひたすら祈るだけ。
 セーフ。
 ぎりぎりのところで水は止まる。
 こうなったら僕の生命線とも言うべき人に頼るしかない。
 そう、富山の母 こと、大家さんだ。
 実母には未だ母の日のものは送っていないにも関わらず、大家さんにはちゃんと花を買っていったこの心憎さ。
 やはり、女心がわかってしまう僕って、多分とても罪な男なのねん☆
 ピンポーン、こんにちはー
 おはよーございまーす
「はいはい」 と大家さんが出てきて、開口一番驚きの発言。
「 あんた 誰? 」
 僕はその一言を聞いて、心の中でこう呟く。
( ワーォ )
「いや、あの、山田ですけど…」
「あー! ごめんごめん。 ここ暗かったもんやから」
 光が射し、眩しいくらいのその場所で、大家さんは精一杯の言い訳をし僕は はははぁ と変な微笑をして誤魔化す。
「どしたん?」
「いやなんか、トイレが詰まっちゃったみたいで、大家さんあれ持ってないですか? あの、すぽすぽするやつ」
「すぽすぽするやつってなん?」
「ほれ、あの、こんな形をしてて…」 と言いながら、僕は 『もみじまんじゅー!!』 と言えるくらいの身振りで大家さんにそれを伝え、あーはいはい、多分納屋にあっから、ちょっと裏に回ってみられと言われたので、大家さん宅の裏にまわって、大家さんと共に納屋に入る。
「ありそうけ?」
「いや、まだ入ったばっかだからわかんないです。 こっちっすかね?」
「どれ?」
「あー あったあった。 ほれ、これ持っていかれ」
「あ、ありがとうございます」
 そのもみじまんじゅうを手に僕は家に帰り、ナウなヤングおねーちゃんが車で僕の前を通り過ぎるときにそのもみじまんじゅうをガン見していたので、ここで男を見せちゃるたぃと、僕はあえてそれを見せながら家に帰る。
 チャビスケ、なぜかキャッキャキャッキャと大喜び。
 僕はまたしてもめんどくさい台詞を吐く。
お前ならほんっと、俺のこと好きだからなー
 だから結婚出来ないんだっての。
 トイレに鍵をかけて、僕はもみじまんじゅうをすぽすぽすぽすぽやりまくり、じゅぼ という音と共に問題は解決した。
 つまり、そこそこ長い文章を書いて皆さんに伝えたかったことはただ一つ。
 トイレが詰まったその時は、もみじまんじゅう使いましょう。