来年で三十路の男の大晦日

 
 このところ、かなり月日と曜日の感覚がずれずれになり、今日が大晦日だということもまるで湧かないまま、いつも通りの時間に起きて、仕事をして、よしこれで今年の仕事納めじゃ酒飲むべと、ビールを半ダースとつまみを買い、映画を観た。
 その映画は、僕が小さい頃。 小学生で初めて友人達と観にいった映画で、未だにそのエンディングテーマのサビの部分を歌える程に思い入れの深い映画である。
 名作というものはいつ見ても感慨深く、これはもしかすると正月中にもう一度見てしまうんじゃないかと僕は思った。
 映画のタイトルは
ドラえもん のび太の宇宙小戦争」(←来年で三十路)
 映画の終盤に入る頃、しずかちゃんが放った台詞に僕は本気で半泣きになり、その後のスネ夫の台詞で男泣き。
 涙腺ゆるゆる。
 それで思ったんだけど、準レギュラーの出来杉くんがレギュラーになれない最大の理由として、「彼がパーフェクトだから」である。
 頭も良いし、ルックスも良く、性格もひねくれていなくてさわやか。
 なるほど。
 そんな彼がレギュラーだったら、見ている人はつまらないのだ。
「ドラえもん 出来杉の宇宙小戦争」 なんて、全然観たくないもんね。
 だから彼はレギュラーから外されながらも、皆からの羨望の眼差しを受けながら人生を歩むのだ。
 そこで思う。
 僕は、ドラえもんで言うところの出来杉くんなんだ と。
 ミャケ君たちは埼玉へと引越し、頼みの綱であったMBは実家へと帰り、僕は一人、ドラえもんを観ながら酒を飲んで泣いている。
 しかも、大晦日だと言うのに、話をした相手は愛犬のチャビだけである。
 そうだ。 僕は出来杉なんだ。
 I am DEKISUGI。
 よし。
 なんて良い大晦日なんだろう。
 2008年が終わると言うのに、僕はまた自分が書いた文章を読み返して半笑い。
 よし、いいぞ。 富山の出来杉くん。
 これから僕は更に映画を観るか、もしくは本を読み、酒浸りで2008年を終え、夜中に一人近くの護国神社へと初詣に行くのだ。
 おみくじを引き、恐らく悲しいことに大吉だろう(毎年くじ運だけは良い)
 黒澤明監督の映画であったよね。 多分 「生きる」 だったと思うけど、主人公が肺ガンだと告知され死を覚悟して家に帰るときに、大勢の幸せそうな人たちの間をするすると歩いていると、賑やかな町では 「軍艦マーチ」 が大音量で流れているのだ。
 自分が悲しいときに周りが幸せそうだと、更にへこんでしまうこの東京砂漠。
 神様。
 今年のおみくじは、「吉」 とかの中途半端なやつでお願いします。
 これで大吉だったなら、今のこの状況を来年は打破出来ているんでしょうか。
 そんなわけで、皆さん今年もお世話になりました。
 また来年もよろしゅうお願い致します。
 あ、インスタントのソバを買ってくるの忘れてた。
 そういうことだけは案外律儀にやるんよね。
 良い お年を…
 fin…

日本語って豊かだな

 
 先程、トイレに入って一つのものが目に付いた。
 水洗のタンクの上に乗っている、チャビ用のトイレ消臭スプレーだ。
 僕の行動範囲は基本的に 「古本屋」 「ユニクロ」 「材料屋」 「無印」 「100均」 しかないので、多分その消臭スプレーは100均で買ったものに違い無い。
 チャビのトイレは基本的には玄関に置いてあるトイレシートで、時々オイタをしてしまうのでその消臭スプレーは必需品である。
「あちゃー チャビ、このやろう。 まーたオイタしやがって」 と、チャビがちょっとずれた場所に放尿した場合、トイレットペーパーで拭き、その後にそのスプレーをしゅっとやる。 100均だが、香りはそこそこ良い。
 そのスプレーが今日は裏側を向いた状態で置いてあって、僕はオイタをしないように小さい方をしながらその裏側に書かれた文字を何気無く読んだら、トイレで一人、ニヤリと笑ってしまった。
 そこにはこう書いてあった。
「うんちの臭い」
「おしっこの臭い」
 と。
 うん、別段、これを読んだところでニヤリとはしないはず。
 でも、そのニュアンスに僕は少し微笑んだ。
 もしもこの上記の2点がこのように書かれていたら、なんだかまるで別の代物のように思えてしまう。
「ウンコの臭い」
「ションベンの臭い」
 こうなってしまうと、それはもう 「オイタ」 といったオチャメな失敗ではなく、これ確実に 「失禁」 である。
 うん。
 そんなスプレーじゃなくて良かったなぁ と思いました。
 寝るです。